「地方在住でもエンジニアになれますか?」
このような質問を受けることがあります。
急速なインターネットの発展、ECの発展によって東京都心と地方の情報的な格差は縮まったように見えます。
地方に住む一般的なメリットとしては、「家賃が安い」「自然が多い」「満員電車に乗らなくて良い」といったものが挙げられます。これらを享受するために地方を選択する人は一定数います。
また、徐々に「リモートワーク」という働き方が注目されてきており、優秀なフリーランスの間では、日本という枠を超えて「リモートワークで物価の安い海外に移住して物価の差を利用して豊かに暮らす」といったライフスタイルを選択する方も出てきました。
本記事では、地方在住の未経験者がエンジニアになれるのか?」について考察していきます。
Contents
ゼロから地方でエンジニアを目指すのは相応の覚悟と努力が必要
まず結論から言ってしまうと、ゼロから地方でエンジニアを目指すのは相当難しいので、相応と努力が必要になるのを覚悟するべきです。
もちろん絶対になれないと言うわけではないですが、都心で学ぼうとしている人たちに比べて有利か?不利か?といわれると間違いなく不利になってしまいます。
後ほど詳しく述べますが、要領よくエンジニアになりたいなら上京することを推奨します。
さて、ではなぜ地方がエンジニアにとって不向きな環境なのかを考察していくことにしましょう。
教えてもらえる環境が少ない
最近ではプログラミングを教えて未経験から即戦力として活躍できるように育成するプログラミングスクールが発展してきています。
プログラミングスクールの多くは転職支援サービスも兼ねていて、プログラミングスクールのカリキュラム終了後、職業紹介を受けて即エンジニアとして実務経験を詰めるようなフローができています。
しかし、このプログラミングスクールは今の所都心に近い場所でしか開催されていないものが多いのが現実です。
もちろん、Progateなどインターネット上の教材を活用して自分で勉強することはできますが、プログラミングスクールのような職業紹介は受けることができないので仕事を自分で探す必要がありますし、オンライン上の教材で学習を完結させないとならないので難易度が上がってしまいます。
プログラミングスクールが少ないだけでなく、優秀なエンジニアが自主的に開催する勉強会なども都心の方が圧倒的に多いです。エンジニア同士のコミュニティ活動にもハンデを負ってしまうのが今の地方の現状と言えます。
もちろん優秀なエンジニアは独学する習慣ができているので地方でも問題ないパフォーマンスが期待できますが、ゼロからエンジニアを目指そうという人は地方を避けたほうがよいというのが現実的といえます。
仕事の絶対的な供給量が少なすぎる
都心に比べて地方は圧倒的に求人の数が少なく、この人手不足と呼ばれる時代にあっても未経験からの就職難易度が高いです。
地方の企業は東京の下請け企業が多いのも特徴です。都心にブレーンとなる本社機能があり、地方はそのブレーンから降りてきた仕事を回すだけ、といった構造になっているんですね。
やはり下請けとして仕事をやっているとキャリアアップするにしてもすぐに頭打ちになってしまいます。
広い裁量を与えられて自分でプロダクトを設計して世に出すといったようなクリエイティブな仕事ができる機会が多いかと言うとノーだと思います。
地方で経営しているスタートアップ・ベンチャーの数もずっと少なくなってきており、あまり合理的な就職戦略とは言えません。
地方というだけで単価が安くなる
他でもないInformation Technology、ITによって、世界中で情報が一瞬で伝達することができるようになりました。地球の裏側とであっても一瞬で文章でコミュニケーションが取れるだけでなく、リアルタイムで自分の顔を見せてビデオチャットなどもできます。
論理的に考えれば、世界中どこにいても仕事の質は変わらないはず。そこに地方とか都心とかいう有利・不利は生じないはずです。
しかし現実として地方のエンジニアの単価は東京のエンジニアの単価に比べて20%以上下がります。
理想がどうあるべきかはさておき、現実的には人材マーケット全体に相場に対して個人が文句を言ってもどうにもならないんです。
地方の方が家賃は安いですが、そのアドバンテージを吹き飛ばすほどの単価の下がり幅があります。
消耗品の物価は大して安くなりませんし、経済的には東京と地方ではあまり違いがなく、それならエンジニアとして育つ環境が発展してきている東京のほうが良いということになります。
また、東京ではスタートアップや上場を目指すベンチャーの数が多いので、うまく成果を出せば億単位のリターンが期待できるというのもポイントです。狙える上限値が高いということですね。
地方に特別なこだわりがなければ都心への移住がオススメ
上述したとおり、東京と地方にはプログラミングを学ぶ上での環境の格差があるので、よほど地方に特別なこだわりがなければ、東京への移住をオススメします。
現実にある格差を否定して目を背けるより、その格差をどのように利用できるか?を考えることが一人のプレイヤーとして重要です。
今はまだ単価が追いついていない印象がありますが、リモートワークが発展してくれば地方と東京の格差も縮まってくることが期待されます。であれば、その時が来るまでに「自分がリモートワークできる」スキルを身に着けておくことが必要になってきます。
もちろん、すべての地方のエンジニアを否定するつもりはありません。例えば、東京で実績を上げて、取引先を確保しつつ地方へ移住する、というのは全然考えられる戦略だと思います。
しかし、まずそのためにはプログラミングを何が何でも習得して就職し、実務経験を積むことがステップとして必要になってきますし、その目的を達成するために投資の一環として東京に移住する、というのはおかしいことでは決してないと思います。