よく「Web系のIT企業に就職したいならまずは一本Webサービスを作ってみよう!」と言われますね。
自分のスキルを証明するために、Webサービスを作ってポートフォリオとして就職活動する…というやり方が増えてきています。
今回の記事では、「未経験からでもWeb系企業に就職するためのポートフォリオの作り方」について説明していこうと思います。
これからエンジニアになりたい方だけでなく、実務経験者の方でも、まだポートフォリオを持っていない、という方には参考になる内容かと思いますので、ぜひ読んでみてください。
Contents
ポートフォリオを作るべき3つの理由
業務経験がなくても、ポートフォリオの出来が良ければ採用に至るケースが増えてきた
「IT業界は経験者しか採用してくれない」
「実務経験がないから実務経験を積みたいのに、未経験じゃどこも入れてくれない」
こういった話をよく聞きます。
ITエンジニアというのは「知識・経験」が最も必要になってくる技術職なので、経験者が優遇される理由にもある程度の合理性があるものかと思います。
しかし、IT業界というのはもはや経験者だけでは回らないんです。
未経験者を雇うのは実力が未知数なので企業側にリスクが伴いますが、だからといって十把一絡げに門前払いをしてしまうやり方では事業に必要な人材を確保できなくなってきています。
見れるものがあればその人が「どの程度できるのか?」がわかるようになりますし、実際に未経験からでもポートフォリオを作ったりブログやSNSで情報発信をして就職できたケースが多々報告されています。
そもそも、履歴書や業務経験書はその人の「現在の技術力」を推し量るには不十分です。志望動機やどこの現場に何年いたかより、今見せられるコードこそが技術力を判定するのに良い指標ではないでしょうか。
よく作り込まれた履歴書とよく作り込まれたポートフォリオ。あなたがWeb系企業の担当者だったら、どちらを採用したいでしょうか?
一回作っておけば、いつでも見せられる自分の資産になる
ポートフォリオは一回作って公開しておけば、必要に応じていつでも見せることができるようになります。
もちろん技術の進化に沿って細かいメンテナンスは必要になってきますが、最初に頑張って土台を作っておけばあとは軽い修正の積み重ねでOKです。
自分が使ってみたい技術を試す遊び場としても使えるので、一つ持っておくと損することはないですね。
作りきれる人は100人中3人もいない
「ポートフォリオなんてできる人ならみんな持ってて当たり前」
そう思っていた時期が私にもありました。
しかし周りを見てみると、たとえ経験者であってもきちんと公開できるものを持っているエンジニアって数えるくらいしかいないです。
SNSやブログなどで「見せれるものを作るのが大事!」と言われていても、実際に行動する人はほとんどいないということです。
作りたい人100人、作り始める人10人、作りきれる人1人。
この現状をどう考えるか?
ポートフォリオの出来が良い悪い以前の問題で、あるだけで十分差別化になる、と私は考えます。
きちんと「見せられるものがある」ということは、「やりきる力がある」というアピールにもなります。
ポートフォリオを作るときの4つのポイント
「きちんとポートフォリオを作ることができる人は少数派だ」ということを前段で述べました。
以下では、ポートフォリオを作るための考え方・コツを4つ説明してきます。
最初からFacebookみたいなものを作ろうとしない
「ポートフォリオを作ろうと着手したけど、作りきれないまま放置しちゃってる…」
こういった人をよく見かけます。
しかし、よくよく話を聞いてみると、そもそもの構想がデカすぎてベテランのエンジニアでも1年以上かかるようなサービスを想像しちゃってるケースがあります。
気持ちはわかります。映画を作るならタイタニックを作りたいですし、RPGを作るならファイナルファンタジーを作りたいですし、もちろんWebサービスを作りたいならFacebookを作りたいですよね。
しかし、これらは「業界で一流の人間が毎日働いて、莫大な予算をかけて、何年も積み重ねて作ってきたもの」なのです。個人のポートフォリオとして作るのは現実的ではありません。
「なぜ自分はFacebookやYoutubeみたいなイケてるサービスを作れないんだろう…??」みたいな感じになってプログラミングをするモチベーションを下げてしまっては元も子もないですよね。
まずは「テンプレート通りのデザインでログインが出来て、なにか書き込める」くらいのところを目指していけば十分です。
まず完成することを目標に
完璧を目指すより、まず終わらせろ
Done is better than perfect.-マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)
ポートフォリオを作るときには「完成させ、公開する」ことをまず優先するようにしてください。
多少の細かい見た目のズレや不具合があってもそのまま公開するくらいでちょうどいいです。
こだわり続けていつまで立ってもアウトプットがでないよりよっぽどマシです。
プロの現場でも、「限られた人員と予算では、この機能は作れないから削る!」という意思決定をすることがあります。「完成させるために、やらないことを決める」というスキルは、仕事としてエンジニアをやっていく上でも重要です。
どうしてもネタが思いつかないときは
「ポートフォリオを作りたいけど、何を題材にしていいかわからない…」
これは結構ありがちな悩みで、「プログラミングを学ぶ」ことに注力しすぎると、逆に「何を作りたかったのか」がぼやけてしまうことがあります。
そんなときは自分の好きなことや、趣味を振り返ってみましょう。
例えばカフェ巡りをするのが趣味なら、周辺のカフェを検索できて、良かった店にいいね!ができるようなものを作る。
絵を書くのが好きなら、書いた絵をアップロードできて、SNSでシェアできるようなものを作る。
事業としてやるなら「そのサービスの新規性」や「収益性」も考慮に入れる必要がありますが、ポートフォリオ制作の段階では考慮する必要はありません。
あまり他の人との「ネタかぶり」を恐れずに、気楽にやりましょう。
ある一人の(あるいは自分自身の)、人生を1ミリだけ豊かにする、それだけでいいのです。
日常のふとした気づきを大事に。
もしあなたが「これは1万人の問題を解決できる!!」と思えるようなWebサービスが作れたなら、ポートフォリオとして使って就職、なんてケチくさいことを言わずにそのサービスで起業したほうが良いです。
他の人が見えるように公開しよう(超大事)
作成したポートフォリオはどこかのサーバーを借りて必ず公開しましょう。
自分のPCにだけ保存しておくのはもったいないです。
こんなWebサービス作ってみましたってSNSでつぶやけば興味がある人はいるでしょうし、いいねやRTで拡散されてWeb系企業の採用担当者の目に留まる…という期待も持てます。
レンタルサーバーの安いプランなら月額600円程度で借りられますし、最近だとHerokuなど、初期費用完全無料でインターネットに自分で作ったサービスを公開できるプラットフォームも出てきています。
Herokuは「Ruby on Railsのアプリケーションを手軽に公開する」ことから始まったプラットフォームで、Ruby on Railsで書かれたものなら複雑な手順がほとんどなく公開できるようになっています。
誰かが使ってくれている、という実感があるとプログラミングは途端に楽しくなりますよ。
ポートフォリオを作る上でおすすめのサーバーは?
- 低価格で気軽にWebサイトを作ってみたいなら、ロリポップなどのレンタルサーバーが始めやすいです
- 本格的なサーバーサイドプログラムを含むWebサービスを組みたいなら、サーバーをまるごと借りられるさくらVPSやXserverがおすすめです。
- Ruby on Railsで作られたWebアプリケーションなら、Railsに最適化されたHerokuで決まり。
- さらに高度なAmazon Web Servicesにチャレンジしてみましょう。
ポートフォリオを用いて就職につなげるには?
採用担当者はポートフォリオのどこを見ているか?
結論から言ってしまうと、希望するポジションによって重点的に見られるポイントは異なります。
フロントエンドエンジニアになりたいのならば、HTML・CSSがきちんと書けていて見た目が整っているか、JavaScriptはきれいに書けてちゃんと動くか、といったことが重点的に見られるでしょう。
サーバーサイドエンジニアになりたいのであれば、見た目よりもバックエンドのコードがきちんとしているか、サーバーやフレームワークの仕組みを理解した上でコーディングが行えているかが決め手になります。
プロジェクトマネジメント的なキャリアを希望するのならば、「このポートフォリオはどんなユーザーがいると仮定して、どういった課題を抱えていて、その課題をどのように解決していくのか」をしっかり説明できる必要があります。
そして、これは言うまでもないことかもしれませんが、どのポジションを志望するにしても、「この人と一緒に働きたいか?」という点は必ず見られます。
就職活動をする上での最低限のマナー・振る舞いは抑えておく必要がありますね。
一社落ちたからといって一喜一憂しない。とにかく行動しよう
これは特に就職活動を始めたばかりの人にありがちですが、一社落とされたからといって落ち込む必要はありません。
そもそも採用面接というのは、ベテランエンジニアでもよく落とされるものです。
採用担当者は「単にスキルの絶対値が高いかどうか?」だけでなく、「この人は自分の会社の文化にマッチしているだろうか?」「この人の学びたい技術の方向性と会社の方向性はマッチしているか?」なども考慮に入れて当落を判断します。(特にレベルの高い会社になるほどこの傾向があります。)
なので、「採用面接でお祈りされる」というのは、あなたのポートフォリオの出来が悪かったのではなく、単に相性が悪かった、というケースも多々あるということです。
相性が悪い相手がいたということは、裏を返せば、相性が良い相手にも巡り会える可能性があるということ。
結果に一喜一憂せず、鉄のメンタルを持って自分とマッチ度が高い会社を探し続けるのが良い結果を残すために必要なことです。
ポートフォリオを多くの人に見てもらうために情報を発信しよう
ポートフォリオはただ作るだけでなく、人に見てもらうために作るものです。
自分のTwitterアカウントやFacebookアカウントのプロフィールにポートフォリオへのリンクを貼って一人でも多くの人に見てもらえるようにしましょう。
Qiitaやブログなど、技術情報を発信できるメディアで、自分のコードの工夫した点や、「ここが難しくて解決に苦労した!」というトピックを添えて記事を書くのも良い方法です。
自分の好きな技術や使ってみたい言語をアピールしておくことでそれらに関する情報が入ってきやすくなります。
また、積極的に自分の活動内容や習得した技術などを発信することで、エンジニア同士のつながりを作ることも期待できます。ポートフォリオの出来が良ければ、そのまま仕事の依頼が来ることもあるかもしれません。
情報は発信する者に集まるのです。
まとめ
- 最初からスゴイものを作ろうとしなくてもいい
- まず完成させること
- 自分の好きなことや趣味から小さなネタを探してみよう
- 必ず公開すること