「働き方改革」が政府を上げて推進され、世の中に「副業をやっていこう」という流れができてきています。
エンジニアは本来、副業がしやすい職種です。Web系エンジニアであればシステムの開発案件を受けるだけでなく、その技術を教えたり、自社サービスを作る、アフィリエイトをするなど選択肢は多岐にわたります。
しかし、どんな形でするにせよ、副業をする上で注意点というのがいくつかありますので、今回はこれらについて説明していきたいと思います。
Contents
確定申告をする
原則として開業届の提出と青色申告をしよう
開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類で、正式名称は「個人事業の開廃業届出書」です。
個人事業主になると、例えば、事業から生じた利益に対しては所得税が課され、事業規模が大きい場合は個人事業税も課税されます。
また、消費税の課税事業者に該当する場合には消費税の申告書を提出し納税する必要があります。所得税・消費税は国税として税務署に、個人事業税は地方税として各都道府県税事務所に納める税金です。このため、それぞれの税務当局に対して個人事業主として開業することを報告する必要があります。
そのための届け出が開業届です。
開業届を提出すると、個人事業主の税金に関する案内が税務署から届きます。
(引用:開業届とは?知っておきたい6つの基本知識 | クラウド会計ソフト freee)
個人事業主として開業届を出すと、
- 10万円の控除が受けられる白色申告
- 65万円の控除が受けられる青色申告
のどちらかを選択できるので、「青色申告」の届け出を出しておきましょう。
過去には、白色申告は記帳が簡単というメリットがあったのですが、法律が改正され、今は手間がほとんど青色申告と変わらなくなりました。
副業収入が20万円を超える場合、確定申告が必要となります。
大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。
しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければなりません。(中略)
3 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(引用:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁)
年間20万円という金額は、月間2万円でも副業をしていれば突破してしまうラインです。
なので副業をする場合は原則的には確定申告が必要になると思っておいたほうがいいでしょう。
きちんと申告すれば税制上のメリットもある
確定申告は「ただ税金を納めるだけ」の制度だと思っている人がいますが、きちんと申告すれば税制上のメリットもあります。
例えば、個人事業主として開業していた場合、仕事を進めるのに必要な
- 端末
- 技術に関する書籍
- リモートワークをしているならば家賃の何割か
を経費として計上することができます。
こういった経費を正しくつけることにより、税のルールの上で支払う税金を圧縮することができます。
他にも、個人事業主は3年間まで赤字の繰越ができるというメリットもあります。(副業の場合はまず当てはまらないケースだと思うので詳細は省きます)
帳簿管理は会計ソフトを使って効率化
事業をする上で面倒なのが帳簿管理。かならず会計ソフトを使って効率化しましょう。
あなたの本業は帳簿をつけることではなく、コードを書いてユーザーに価値を提供することです。
以下で、副業・個人事業主にも使いやすいクラウド会計ソフトを2つ紹介します。
freee
freeeは個人事業主・中小企業がターゲットのクラウド会計ソフトです。
入力サジェストや総勘定元帳の出力がスムーズにできるのはもちろん、確定申告はシステムの誘導に従って数値を当てはめていくだけで完了してしまいます。
迷ったらまずfreeeを選ぶのが良いかと思います。
freee上で顧問税理士を探すサービスもあるので、「もう確定申告自分ではしたくない」と思っている場合は税理士にお願いすることを検討してみましょう。
同じfreee上で帳簿のやりとりをするのでわかりやすいと思います。
マネーフォワード
上場企業「マネーフォワード」が主力サービスとして展開しているマネーフォワードです。
「マネーフォワードME」という個人向けの家計簿アプリでお世話になっている人もいるかもしれません。
もちろんクラウド会計ソフトの品質も高く、おすすめのクラウド会計ソフトです。
忙しくて確定申告が難しいなら、税理士におまかせもあり
忙しくて確定申告が難しいケースなら、まずは税理士に丸投げしてしまってもいいかもしれません。
今年も確定申告の時期がやって参りました。記帳処理を全くしていない、領収書がたまったまま、などの個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
ご自身で申告することも当然できますが、慣れない作業に時間がとられ、本業に集中することができなくなってしまいます。 また、相続税や贈与税などの専門的な内容についても対応可能です。
確定申告はプロであるSHARESの税理士にぜひご依頼ください。
契約の証拠(エビデンス)を必ず残す
決して口約束だけで仕事を進めないようにしてください。
当たり前にやっている人には当たり前のことですが、特に副業始めたての人や、今までコードを書くばかりで営業・契約経験のないエンジニアが引っかかりがちな落とし穴です。
順調に仕事が回っているうちはその弊害に気づかない場合が多いかもしれませんが、有事の際に言った言わないの争いに発展するリスクがないわけではありません。
もし契約書すら口約束だったら…?
「おまえを雇った覚えはない」と言われて今までの作業分を支払われないケースだってありえます。
副業とはいえ自営業は「自衛業」。エビデンスは自分を守る切り札として絶対に書面で残しておくべきです。
請負契約・業務委託契約の契約形態の違いを理解する
エンジニアの副業の契約形態としては、大きく分けて「請負契約」「準委任契約」が挙げられます。
これらはどう違うのか?この段落で説明していきましょう。
請負契約では成果物に対して報酬が支払われる
請負契約では、納品されるソフトウェアに対して対価が支払われます。
ソフトウェアを完成させ発注者側の検収を通過させるまで報酬はゼロです。
また、検収でバグがあれば瑕疵担保責任によって直さなければなりません。
資金繰りに余裕があり、品質が高いコードがかける人のみがこの契約を選択するべきです。
業務委託契約では時間に対して報酬が支払われる
請負契約に対して業務委託契約では、時間に対して報酬が支払われます。
社会保険料の有無という側面がありますが、「高額アルバイト」と認識しておいて問題ないかと思います。
こちらは善管注意義務こそあれ、瑕疵担保責任もありません。(もちろん、エンジニアとして恥ずかしくない職務を行うことは大前提ですよ!)
まだ稼働は毎月の締めから来月末、といったところが多いので遅くても2ヶ月後には作業分の入金が確定します。
キャッシュフローが安定しやすく、請負に比べて非常に安定している契約形態といえます。
安易な請負契約はリスクが高いので非推奨
ここまで請負と業務委託について、それらの特徴を説明してきました。
それを踏まえた上で結論から言うと、
「請負契約はリスクが高いのでオススメできません」
「成果に対して報酬が支払われる」と聞くとなんだかかっこいいかもしれませんが、契約は現実的にやるべきです。
請負契約は事前に仕様を全部確定して成り立つものですし、これが曖昧なままだと「この挙動は瑕疵だ」「いや仕様だ」、「仕様を追加したい」「事前の仕様についていないから追加料金ね」といった(おたがいあまり愉快ではない)交渉が起こりやすく、よほどあなたが「なんでもこなせる要件定義のプロ」でない限り、良い結果にはならないでしょう。
入金スパンも納品確定後と非常に遅いので、自分自身の資金繰りに窮するリスクもあります。
これらのことを考えると、多少精算幅があっても時間に対して役務の提供をコミットする「準委任契約」を選択したほうがトータルのリターンは高いでしょう。
税込価格か税抜価格かを必ず確認する
契約書によっては、報酬が消費税税込みか税抜きかの表記がされていない場合があります。
こういった場合、必ず税込みか税抜きかを明確にするようにしてください。
なぜ重要かを説明していきます。
8%(10%)の報酬の違いは大きい
個人事業主は売上1000万到達するまでは免税事業者となり、消費税の納入義務はありません。
なので外税にしておくと単価8%アップと同義です。さらに消費税増税で10%に上がるとこちらの収入も2%上がる。
なので、基本的には税抜きで契約書に表記しておくと良いでしょう。
1000万円以上の売上で消費税の納税義務が発生
年商が1000万を超えてしまうと消費税の課税対象になり、売上分の消費税を納付しなければなりません。
これは経費ではなく売上に課税されるのでとてもきつい課税です。
副業で1000万に到達できるケースはそれほど多くはないと思いますが、覚えておいて損はない知識です。
まとめ
- 開業届・青色申告は必須
- 契約は必ずあとで確認できる形で残すこと
- 契約形態の違いに注意
- 税込/税別の扱いに注意